下記の順で病気の説明をさせて頂きます。

 

①白内障
②緑内障
③網膜剥離
④ドライアイ
⑤糖尿病網膜症
⑥加齢黄斑変性

 

 

【 白  内  障 】


こんな症状はございませんか?


 こんな症状を感じたことがある方は、白内障かもしれません。


白内障とは?



人の目は、カメラにたとえられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。
水晶体は直径10mm、厚さ4mmの凸レンズの形をしていて、うすい膜(嚢)に包まれています。一方、水晶体の中身は、透明な組織で、たんぱく質と水分から構成され、「皮質」と「核」に分かれています。
      

 

正常な水晶体は透明で、光をよく通します。しかし、さまざまな原因で水晶体の中身のたんぱく質が変性して、濁ってくることがあります。これが「白内障」です。水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下します。

     

 


白内障の起こる原因は?



       

自覚症はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」と呼んでいます。個人差はありますが、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。白内障は、一種の老化現象ですので、ご高齢になると、誰でも発症します。
手術を必要とするほど視力低下する割合は、65~74歳ではほぼ5人に1人、75歳以上では2人に1人といわれています。片方の目に起こるといずれもう片方の目も白内障になる可能性が高くなります。両方の目が同時に白内障になる場合が多いです。
その他には、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの全身疾患に合併する白内障、母親の胎内で風疹に感染するなどが原因で生まれつきの先天白内障、目のけがによる外傷性白内障、目の病気に伴う併発白内障、その他薬剤(主にステロイド薬)や放射線などによる白内障などがあります。


白内障の治療法は?


自覚症状がない、見にくさなどを感じない程度であれば、点眼薬などの薬剤により、白内障の進行を遅らせます。しかし、症状や病状を改善したり、視力を回復させることはできません。白内障が進行して、日常生活で見にくさを感じるようであれば、白内障手術を行います。ほとんど見えなくなるまで放置してしまうと、手術の危険性も高くなりますので、中等度くらいの白内障の段階で、手術を受けて頂いた方がよいです。当院の白内障手術は、全く痛みがなく、短時間(約5分程度)で完了します。当院では、日帰り白内障手術を得意としており、面倒な入院の必要もありません



【 緑  内  障 】


緑内障はどんな病気?


日本人の失明原因第1位は緑内障です。40歳以上の20人に1人が緑内障であると言われています。緑内障は、何らかの原因で視神経が障害されて、視野が欠けていく病気です。眼圧(眼球の圧力、硬さ)の上昇がその原因の一つと言われています。

 


緑内障の種類は?


緑内障にはいくつかの種類があります。

原発開放隅角緑内障
隅角は広いけど、眼圧が高い緑内障です。

正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(21mmHg未満)にも関わらず緑内障になる人がいます。全緑内障のなかの60%を占め、最も多いタイプです。

原発性閉塞隅角緑内障
隅角が極端に狭く、房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇します。慢性に起こるタイプと、急性に起こるタイプがあります。急性に起こるタイプは、症状が急激で、吐き気、頭痛、充血、目の強い痛み、視力低下などを伴います。

⑤発達緑内障
生まれつきの緑内障です。

⑤続発緑内障
目のけが、病気、薬剤の副作用などによって、眼圧が上昇することで、緑内障になってしまいます。

 


緑内障の症状は?


緑内障は、視野が徐々に欠けていきます。ある程度進行するまで気づきにくいため、見にくさを感じた時はかなり進行している場合が多いです。急性に起こる閉塞隅角緑内障は、吐き気、頭痛、目の痛みなどを伴い、進行が早いです。

 


早期発見、継続治療が大切です。


緑内障は、病気がある程度進行するまで、自覚症状がほとんどありません。気づかない間に、視野障害がかなり進行してしまっているケースが多いです。一度視野が欠けてしまうと、元に戻すことはできません。手遅れになる前に治療を行い、進行を抑えることが大切です。早期発見、継続治療が大切です。
40歳を過ぎたら、緑内障の早期発見のため、定期検査を受けましょう。


緑内障の検査は?


緑内障の主な検査は
①眼圧検査
目に空気を当てて測定する方法と、小さなチップを目に当てる方法があります。

②眼底検査
視神経入党の凹み、網膜神経線維の欠損の有無を調べます。

③視野検査
視野障害の有無・程度を調べます。緑内障の進行程度を調べます。

④隅角検査
目に直接、検査用のコンタクトレンズを乗せ、隅角の異常がないか調べます。

⑤網膜断層検査(光干渉断層計;OCT)
網膜の断層像、視神経線維の断層などを調べます。最先端の検査法で、視野障害が出る前の、極早期の緑内障を発見することができます。


緑内障の治療法は?


緑内障の治療は、眼圧を下げることが最も大切です。
点眼薬による治療が最も基本になります。多くの場合は、点眼薬による治療で、緑内障の進行を食い止めることができます。
点眼薬により眼圧が下がらない、緑内障の進行が食い止められないような場合には、次のステップの治療へ進みます。

①薬物療法
最も基本となる治療法です。その中でも、点眼薬が一般的です。
まずは、1種類の目薬から使用し、緑内障の進行・眼圧・既往歴などを考慮し、複数の目薬を併用していきます。
場合により、内服薬なども併用することもあります。      

①レーザー治療
虹彩(茶目)に小さな穴を開ける方法、線維柱帯という目の中の水の排泄路をレーザー照射する方法などいくつかの方法があります。
緑内障のタイプにより、適応が異なります。

③手術
薬物療法やレーザー治では治療効果が得られなかった場合に行われます。手術をしても症状が改善するのではなく、あくまで眼圧を下げて、緑内障の進行を食い止めるのが目的です。緑内障のタイプにより、手術方法が選択されます。



【 ド ラ イ ア イ 】


こんな症状はありませんか?


・目が疲れやすい
・めやにが出る
・目がごろごろする
・重たい感じがする
・目が乾いた感じがする
・何となく目に不快感がある
・目が痛い
・涙が出る
・ものがかすんで見える
・目がかゆい
・光を見るとまぶしい
・目が赤い

上の症状であてはまる項目が5つ以上あると、あなたはドライアイかもしれません。


ドライアイとは?


ドライアイは、和訳するとまさに「乾き目」です。しかし、単に目が乾くという病気ではありません。
ドライアイは、大きく2つに分類されます。
ひとつは、涙そのものの量が減ってしまう
「量的異常」、そしてもうひとつは、涙の性質が悪くなってしまう「質的異常」です。
涙の量や質が異常になることにより、目の表面に傷ができたり、うまく機能できなくなったりしてしまうのです。

現在、800万人以上もの患者さまがこのドライアイに悩まされていると推定されています。

 


眼科専門医による適切な診断が必要です!


ドライアイは、さまざまな要因により起こる涙の異常で、いろいろな目の症状を引き起こします。このドライアイは放置しておくと、目の表面に傷ができたり、傷に細菌が入り込んでしまったり、視力が低下したりします。また、市販の目薬や水道水による洗眼は、かえって病状を悪化させてしまうこともありますので、まずは眼科で適切な検査・診断を受けることが大切です。

 


これは、細隙灯顕微鏡検査という検査で、目の表面(角膜、結膜)の傷を黄色い特殊な染色液で染めたもの。


ドライアイの治療法は?


治療の基本は、目薬が基本です。効果が不十分の場合には、涙点プラグ挿入、涙点閉鎖などの処置、手術を行います。
①目薬
 ・人工涙液
 ・ヒアルロン酸の含んだ点眼液
 ・涙の成分(水分、ムチン)の分泌を増やす点眼液
 (ジクアホソルナトリウム、レバミピド)
②処置、手術
 ・涙点プラグ挿入
 ・涙点閉鎖術(涙点を手術により閉鎖してしまう方法)



【 糖 尿 病 網 膜 症 】


糖尿病って怖い病気ですか?


日本国内で糖尿病の可能性がある人は890万人以上といわれています。糖尿病の初期では自覚症状がほとんどないため軽視されがちですが、血糖の高い状態がつづくことで、全身にいろいろな糖尿病の合併症を引き起こします。
特に、
『網膜症』、『神経障害』、『腎症』が三大合併症といわれ、多くみられる合併症です。合併症が進行すると深刻な状態に陥ってしまうこともあります。糖尿病は合併症が怖い病気なのです。

 


どうして目が悪くなるの?


目の中の奥(眼底)には、網膜という膜があり、多くの毛細血管があります。糖尿病になると、血糖が高く、血液がどろどろとなり、網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけて、眼底出血を起こしたりします。そのため、血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、これが糖尿病網膜症の原因になります。


糖尿病網膜症になると、失明するのですか?


糖尿病になったからといって、すぐに失明するわけではありません。糖尿病網膜症は、網膜の状態などから、進行の段階が3つに分類されます。単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の順に進行していきます。かなり進行した状態になるまで、自覚症状がないことが多いため、患者さんが自覚症状を感じた時は、かなり進行してしまっている場合が少なくありません。また、糖尿病のコントロールが良くても、進行してしまう場合もあります。糖尿病から目を守るためには、定期的に眼科で検査を受けることが大切です。




糖尿病の目の合併症には、他にどのようなものがありますか?


高血糖による末梢神経障害および代謝異常などにより、糖尿病網膜症の他にもさまざまな合併症が起こります。
失明につながる白内障、血管新生緑内障の他に、黄斑症、屈折・調節異常、角膜障害、虹彩毛様体炎、外眼筋麻痺、虚血性視神経症などがあります。
合併症の中には、通常であれば角膜障害のように激しい痛みを感じるものもありますが、末梢神経障害を起こした糖尿病患者さんでは痛みを感じない場合があり、治療が遅れてしまうことがあります。早期発見をし、進行を食い止めるためにも、
眼科での定期検査は大切です。




糖尿病網膜症で失明する人って、どのくらいいるのですか?


糖尿病網膜症で視覚障害になる人は、年間3000人にのぼるといわれています。日本国内で、失明を含めた視覚障害の原因として2番目に多いのは、糖尿病網膜症です。


糖尿病網膜症の治療には、どのようなものがありますか?


①血糖コントロール
単純網膜症では、血糖コントロールによって、眼底出血が改善することもあります。また、他の治療効果を十分なものにするためにも、血糖コントロールが不可欠です。

②網膜光凝固術(レーザー治療)
網膜光凝固術は、網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を防ぐ方法です。この治療により、網膜症の進行を抑え、失明を食い止めます。

③硝子体手術
新生血管が破れて硝子体に出血を起こす硝子体出血や、網膜が眼底から剥がれる網膜剥離が起きた場合には、硝子体手術が必要になります。

④テノン嚢下注射、硝子体注射
薬剤を目に直接注射し、網膜症や黄斑症を治療します。


糖尿病網膜症で失明しないためには、どうしたらいいでしょうか?


①血糖コントロールをつづけましょう。
②糖尿病といわれたら、必ず眼科で検査を受けてください。
③定期的に眼科の検査を受けましょう。



【 加 齢 黄 斑 変 性 】


加齢黄斑変性は、見ようとするところが見えにくくなる病気です。


加齢黄斑変性は、網膜の中心である黄斑部がいたむのが原因です。そのため、ものを見ようとしたときに視野の中心が最も影響を受けます。進行とともに次のような症状が現れます。






加齢黄斑変性は、歳をとればかかるおそれがある病気です。


日本では、加齢黄斑変性を主とした黄斑変性症は視覚障害者の原因疾患の第4位です。この病気の主な原因は、加齢や生活習慣の欧米化などです。
現在、高齢者の増加に伴って、患者さんの数が増えています。

 


黄斑って何?


黄斑は、フィルムの働きをする網膜の中でも視力をつかさどる視細胞が集中している中心部で、ものの形、大きさ、色、距離などの光の情報の大半を識別しています。この部分に異常が発生すると、視力の低下をきたします。また黄斑の中心には中心窩という最も重要な部分があり、この部分に異常をきたすと、視力低下が深刻となります。

 


加齢黄斑変性は、脈絡膜から発生する良くない血管(新生血管)が原因で起こります。


新生血管はもろくて弱いため、破れて出血したり、血液中の成分が漏れ出して、黄斑が腫れ、ものが見えにくくなります。




加齢黄斑変性(滲出型と萎縮型)


加齢黄斑変性は、黄斑部の機能が、加齢等の原因によって障害される病気です。脈絡膜から発生する新生血管の有無で「滲出型」と「萎縮型」に分類されます。

「滲出型しんしゅつがた」加齢黄斑変性
「新生血管型」「ウェットタイプ」とも呼ばれます。脈絡膜新生血管が発生し、出血などにより網膜が障害されて起こるタイプです。進行が早く、急激に視力が低下していきます。

②「萎縮型いしゅくがた」加齢黄斑変性
「非滲出型」「ドライタイプ」とも呼ばれます。網膜の細胞が加齢により変性し、老廃物が蓄積して栄養不足に陥ります。その結果、徐々に萎縮していきます。進行が緩やかなため、気づかない人もいます。しかし、時間とともに新生血管が発生し「滲出型」に移行することもありますので、定期的に眼科専門医による検査を受ける必要があります。

 


検査方法について



視力検査
視力の低下がないか調べます。両目で見ていると、片目の視力が低下していることに気づかないことが多いですので、正確な視力検査をすることが必要です。

眼底検査
医師が検眼鏡などの器具を用いて、眼底にある網膜の状態を調べます。

網膜断層検査(OCT、光干渉断層計)
網膜の断層撮影を行います。網膜の細部まで詳細に観察できます。小さな異常も発見できます。早期診断には欠かせません。

眼底カメラ、蛍光眼底造影検査
蛍光色素(造影剤)を腕の静脈から注射し、眼底カメラで眼底の血管の異常を検査します。新生血管や、新生血管からの漏れ出しがあるか調べます。

 


滲出型加齢黄斑変性症の治療法


抗血管新生療法
体の中には、脈絡膜新生血管の成長を活性化させるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質があります。
抗血管新生療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより、新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。
導入期には、3回連続で毎月注射し、その後は、検査結果をみて、追加注射するか、経過観察するか決めていきます。

光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy
光に反応する薬剤を体内に注射した後に、病変部にレーザーを照射する治療法です。弱いレーザーによって薬剤を活性化させ、網膜へのダメージを抑えながら、新生血管を退縮させます。

①レーザー治療
新生血管を直接レーザーで焼き固める治療法です。新生血管が中心窩にない場合のみ適応になる治療法です。しかし、正常な周囲の網膜にもダメージを与えてしまう問題があります。


予防のためにできること


禁煙は非常に大切です。
・加齢黄斑変性症の発生予防のための
サプリメント(ルテイン、亜鉛などを含む)を服用する。
バランスのとれた食習慣を心がけましょう・眼科で定期的な目の検診を受けましょう。



【 網  膜  剥  離 】


網膜とは?


網膜はものを見るための重要な役割を担っています。
網膜は、眼の奥にある厚さ0.1~0.4mmの薄い膜です。ものを見る重要な部分で、10層に分かれています。内側の9層は神経網膜といい、外側の1層は網膜色素上皮層といいます。神経網膜には光を感じる細胞が並んでいます。
網膜の中で一番重要な部分は、中央にある黄斑部です。黄斑部には、視力や色の識別に関係している細胞があります。

 


ものが見えるしくみは?


網膜はカメラでいうフィルムの役割を果たしています。
ものを見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼球内に入ります。水晶体で屈折されたあと、硝子体を通り、網膜に到達します。このとき網膜で感じとられた光の刺激が視神経を通って脳に伝えられ、「見える」と認識されます。
      
      

 


網膜剥離とは?



網膜がはがれることを網膜剥離といいます。
網膜剥離は、網膜にできる裂孔(裂け目)が原因で起こるものが一般的です。網膜の裂け目は、硝子体に引っ張られてできます。
網膜色素上皮細胞と神経網膜の接着は弱いので、何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞からはがれてしまうことがあります。これが網膜剥離です。網膜剥離になると、網膜の細胞が栄養不足に陥り死んでしまうので、結果的にものが見えなくなります。

網膜が引っぱられて裂け目(網膜裂孔)ができる
         
裂け目から水分が入り込み、網膜が網膜がはがれる

 


網膜剥離の症状は?


このような症状があれば検査を受けましょう。

 


網膜剥離の検査は?


検査を受けて早期に発見しましょう。
①眼底検査
最も大切な検査です。これは、目薬で瞳孔を開き、眼底の様子を調べる検査です。網膜の異常を肉眼的に発見できます。出血などで眼底が見えないときには、超音波検査を行います。
 


②視野
検査
見えない部分の位置を調べる検査です。網膜剥離の部分は、視野が欠けます。両目で見ていると、かなり進行するまで気づかないこともあります。

     

 


網膜剥離の治療は?


網膜剥離を治すには手術が必要です。
症状や網膜剥離の進行状態によって、治療法が選択されます。

①網膜に裂け目(網膜裂孔)ができているが、網膜剥離の範囲が狭いか、またはない場合
 網膜光凝固術を行います。網膜裂孔の周りをレーザーで熱凝固します。

 


②網膜が広くはがれている場合
 ・網膜復位術(シリコンのバンドを眼球の周りに巻く手術、バックル縫着)

 ・硝子体手術(眼の中の硝子体を切除し、特殊なガスを入れて網膜をくっつける手術)